事業協同組合を作った後、技能実習を行うには、監理団体の許可を得る必要があります。

この監理団体の許可には基準があり、以下の様な点を備える必要があります。

  • 営利を目的としない法人であること
  • 監理団体の業務の実施の基準に従って事業を適正に行うに足りる能力を有すること
  • 監理事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有する事
  • 個人情報の適正な管理のため必要な措置を講じている事
  • 外部役員または外部監査の措置を実施していること
  • 基準を満たす外国の送出機関と、技能実習生の取次に係る契約を締結していること
  • 上記の他、監理事業を適正に遂行する能力を保持していること

上記のとおり、外部役員や外部監査人による監査体制をきちんと整備していることは、許可を取る上でも重要な要素となっています。

技能実習ではどのような監査を行えばよいですか?
実習実施者に対する定期監査

実習実施者が認定計画に従って技能実習を行わせているか、出入国に関する法令や、労働関係の法令に違反していないかどうかその他の団体監理型技能実習の適正な実施や団体監理型技能実習生の保護に関する事項について、監理責任者の指揮の下で、定められた頻度と方法で定期監査を行う必要があります。

この定期監査は、3カ月に1回以上の頻度で行う必要があります。監査を行った場合には、その結果を実習実施者の事業所がある場所を管轄している技能実習機構の事務所に、監査報告書を提出します。

この監査は、以下のような形で行う必要があります。

1)技能実習の実施状況について実地による確認を行うこと

2)技能実習責任者と技能実習指導員から報告を受けること

3)実習実施者が技能実習を行わせている実習生の4分の1以上と面談(※注)すること

4)実習実施者の事業所においてその設備を確認し、帳簿書類やその他の物件を閲覧すること

5)実習実施者が技能実習を行わせている実習生の宿泊施設その他の生活環境を確認すること

(※注)実習生が2人以上4人以下の場合、2人以上と面談をする必要があります。

なお、法務大臣及び厚生労働省が告示で定める特定の職種や作業については、大臣が告示で定める方法で行う必要があります。

この実習実施者に対する定期監査においては技能実習の運用上で、問題が生じやすい部分を確認していくことになります。

例えば、割増賃金の不払いや、労働時間の偽装、技能実習計画とは異なる作業への従事、実習実施者以外の事業者の元での作業、不法就労者の雇用、入国後講習期間中の業務への従事等が過去の不正行為事例として実際にあり、技能実習の運用上の問題点となっています。

認定計画と異なる作業に従事していないか、雇用契約に基づき適切に報酬が支払われているか、旅券・在留カードの保管を行っていないかなどの点を、事実関係について確認した上で、技能実習計画に従って技能実習を行わせていない事実、出入国・労働関係法規に違反する事例があれば、適切に指導を行う必要があります。

定期監査のチェックポイントをまとめると、以下の様になります。

1)割増賃金の不払いがないか

2)労働時間の偽装がないか

3)技能実習計画とは異なる作業への従事を行っていないか

4)実習実施者以外の事業者の元での作業従事を行っていないか

5)不法就労者の雇用をしていないか

6)入国後講習期間中の業務への従事をしていないか

認定取り消し事由が疑われる場合の臨時監査

3カ月に1回以上の頻度で行う監査のほか、実習実施者が実習認定取り消し事由に該当する行為を行っている疑いがあると監理団体が認めた場合は、直ちに臨時の監査を行う必要があります。

認定取り消し事由とは(法第16条1項)

  • 実習実施者が認定計画に従って技能実習を行わせていないと認めるとき
  • 認定計画が第9条各号の認定の基準のいずれかに適合しなくなったと認めるとき
  • 実習実施者が第10条各号の認定欠格事由のいずれかに該当することとなったとき
  • 第13条第1項の報告徴収の規定による報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示をせず、若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の帳簿書類の提出若しくは提示をし、又は同項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき
  • 第14条第1項の規定により機構が行う報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示の求めに虚偽の報告若しくは虚偽の帳簿書類の提出若しくは提示をし、又は同項の規定により機構の職員が行う質問に対して虚偽の答弁をしたとき
  • 第15条第1項の規定による主務大臣の命令に違反したとき
  • 出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき
第1号技能実習における訪問指導

訪問指導とは、第1号技能実習の場合に、監査とは別に、監理責任者の指揮の下、1か月につき少なくとも1回以上、監理団体の役職員が実習実施者に赴いて技能実習の実施状況を実地に確認するとともに、認定された技能実習計画に基づいて技能実習を適正に行わせるよう必要な指導を行うことです。

訪問指導を行った場合は、指導の内容を記録した訪問指導記録書を作成し、事業所に備え付ける必要があります。また、この訪問指導の書類の写しは、事業報告書に添付し、年に1度機構の審査課に提出しなければいけません。

訪問指導を行う上での注意点は以下のとおりです。

訪問指導は、技能実習の初期段階である第1号技能実習を行わせるに当たって、監理団体が作成の指導を行った技能実習計画に基づいて技能実習を適正に行わせているかを確認する事が目的です。そのため、実習実施者に対して適切な指導を行うことができるように技能実習計画の作成の指導を担当した方が実施するのが望ましいとされています。

また、実習管理を行う実習実施者の数や所在地の関係から、技能実習計画の作成指導者のみで全ての訪問指導に対応することが困難な場合には、他の役職員がその技能実習計画作成指導者から事前に必要な説明を受けるなどした上で、訪問指導を実施することが望ましいとされています。

 

 

 

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